フレンチメレンゲの作り方 常温と冷却の比較検証

meringue メレンゲ

作業時間: 10分

お菓子作りに欠かせないメレンゲ。イタリアンメレンゲ、フレンチメレンゲ、スイスメレンゲとありますが、今回はフレンチメレンゲについて解説していきます。日本ではフレンチメレンゲを作る際は冷やす事が一般的になっていますが、ヨーロッパでは常温で作る事が多いです。この2つの違いについても検証していきます。

イタリアンメレンゲ、スイスメレンゲは火を使うのに対し、フレンチメレンゲでは火を使用しません。衛生面を考えると、フレンチメレンゲは焼く工程を含んだお菓子作りに使う事をお勧めします。(EleMentiでは生食用にフレンチメレンゲを使う事はありません。)


フレンチメレンゲ: 材料

卵白: 100g グラニュー糖: 80g

使用する道具について

メレンゲ作りにはステンレス、又はガラスのボールが適しています。金属臭が気になる方はガラスのボールの方がよいでしょう。使用する前に必ずキッチンペーパーで隅々をふき取りましょう。これはボールについている水滴や油分を取り除く為です。
逆に避けた方がいいのはプラスチック製のボールです。プラスチックに付着した油分は洗っても残ってしまう事が多いからです。

砂糖と卵白の配分について

フレンチメレンゲを作る際の卵白と砂糖の割合は、卵白10に対し砂糖は6以上使用することが望ましいです。砂糖の量がこれ以下になると卵白の泡立ちを安定させる事が難しくなります。
お菓子を作っている時、砂糖の量を減らしたくなることがあります。その際はメレンゲに使用する砂糖以外の砂糖を減らす事で調整しましょう。
(逆に砂糖をもっと入れたい、という事ならイタリアンメレンゲの方がおすすめです。)

泡立つ仕組み

卵白は9割が水分、残りの多くがタンパク質からできていています。このタンパク質は空気に触れると構造が変化する「空気変性」と、泡を包み込む「起泡性」という2つの性質があります。
卵黄には脂質が含まれており、この脂質はタンパク質の膜を破壊します。
この為、メレンゲを作る際に卵黄が混ざってしまうと泡立ちにくくなります。

卵白に砂糖を入れるのは粘度を強くするためです。砂糖にはタンパク質の変性を抑える働きがあり、メレンゲの気泡が粗くなるのを防ぎます。時間がたってもメレンゲの泡が消えないのは砂糖が泡立ちを保っているからです。

今回は使用しませんが、レモン果汁も良いとされています。
これは本来アルカリ性である卵白に酸性を加える事で、中性に近づくと泡が安定するという性質を利用したものです。メレンゲ安定剤にはクエン酸が入っているものがあるのはこのためです。

常温の卵白を使用したメレンゲ

最初は常温の卵白を使ったメレンゲを作っていきます。

卵白をハンドミキサー(高速)で撹拌していきます。ある程度泡がたったら砂糖を加えていきます。砂糖は一度に加えると泡立ちにくくなるので、徐々に加えます。最後の仕上げは泡をきめ細かくするために低速に落とします。作業終了の目安はメレンゲの角が立つまで。しっかり粘度が出て、逆さまにしても落ちなくなります。
これ以上撹拌を続けると分離しはじめます。(タンパク質の結合が強くなりすぎて、泡を壊してしまう為です。)

今回撹拌にかかった時間は2分10秒でした。

冷却した卵白を使用したメレンゲ

次は冷やした卵白でメレンゲを作っていきます。

工程自体は同じです。撹拌にかかった時間は2分50秒と、常温の時よりも時間がかかりました。見た目に大きな差はありませんが、常温の時よりも粘度が高くなりました。

絞り袋に入れて絞っていきます。今回は実験の為、「常温で作ったメレンゲ」と「冷却した卵白で作ったメレンゲ」を同じ100度で1時間半オーブンに入れて焼いていきます。

1時間半後取り出してみると、常温と冷却のメレンゲの色の違いがありました。常温の方が茶色く色づいているのに対し、冷却を使った方はわずかに茶色い程度です。口当たりは、常温の方が軽く口の中でスッと消えていくのに対して、冷却の方はわずかに歯にくっつく感じがしました。
結果的にメレンゲを焼いて食べるのには「常温の卵白を使用したメレンゲ」の方がおいしい というのが感想です。

経過観察

それではなぜ日本では卵白を冷やして作るのか、引き続き観察してみました。両方を常温でおいておきます。すると30分後から明確な差がでました。
「常温の卵白を使用したメレンゲ」では分離が進んでいます。(左の写真)
その一方「冷却した卵白を使用したメレンゲ」の方はわずかな変化しか見られません(右の写真)
1時間後はさらに変化が進み、常温卵白のメレンゲはボソボソになりましたが、冷却した卵白の方ではまだツヤが残っています。
以上の事から、スポンジ等に混ぜて使うメレンゲの場合は冷却の方が安定している という結論に至りました。

よくある失敗例

泡立たない場合

使用するボウルや器具に水や油分が付着している可能性が考えられます。ハンドミキサーで3分撹拌しても泡立たない場合は道具をすべて洗い直して最初から始める事をお勧めします。

ボソボソする場合

砂糖の量が少なすぎると離水しやすくボソボソとしてしまいます。また、機械を使わずに手で撹拌する場合も撹拌力が不足して泡立たない事があります。メレンゲを作る際は休まずに一気に泡立てなければなりません。

砂糖を加えるタイミングは作るお菓子によって変えても面白いです。泡立て序盤に加えると、卵白の粘度が増してきめ細かいしっかりした重みのあるメレンゲになります。終盤に加えると、きめが粗く、軽い口当たりのメレンゲになります。
グラニュー糖の代わりに粉砂糖を使うと、さらにきめ細かいメレンゲが作れます。

お菓子作りは奥が深いですね。失敗する事も多いですが、がっかりせずに冷静に原因が何であったのかを突き止める事が成功への近道です。


フレンチメレンゲを使ったレシピ

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