イタリア人と美意識

この記事を書いた人
当レシピブログを発信しているエミリオの日本人妻。
イタリアにて女の子を出産
在伊歴は5年程経つが、いまだにイタリア語初心者(!)
イタリアで日本人の為の情報を探すのは本当に大変・・・
というわけで忘備録を兼ねたイタリア生活情報を発信していきます。


サトウ

イタリアの夏の風物詩、ジェラート。

老若男女、歯が生えたばかりの子供から髭の生えたダンディーなイケオジまで誰もが愛してやまないジェラート。

私は常日頃からジェラート屋は冬はどうやって生計を立てているのか気になりつつも、夏が来るとご多分に漏れずジェラートを食べている。

日本人から見ると、イケてるイタリアン親父がジェラートを食べている様は非常にギャップがあり、やはり外国人は世間の目を気にしないで我が道を行くように見えるかもしれない。

それはとんでもない誤解であると思う。

日本人同様に、イタリア人には世間体を気にするところがある。しかしながらその価値基準が日本人と大きく違うだけである。

イタリア人は日本人以上に見た目に金をかける。

もちろん私が標準的な日本人だと言っているわけではない。それは自分でも自覚している。

私は正直に言って服装にはあまり頓着がないタイプで、着ているものも気が付けば10年経っている事がザラであり、今年は5着買ったとすれば買いすぎたなと思う方である。イタリア人の義姉たちは「我が弟の嫁がこんなに見すぼらしい格好をしているのは耐えられない」と思ってか、セッセと服やら靴やら運んでくるがために、尚の事服を買う機会が遠のく。

そうすると私の方はしめたもので、ここまでくると双方の我慢比べである。そしていつも私の勝利を収めている。

そしてアイロンを欠かさない。つねにパリッパリのシャツを着ている彼らだが、靴下やパジャマにまでアイロンをかける始末である。

その労力を他に使ったらどうかと思うのだが、彼らは彼らで私に対し、シワシワの服を着るとは何事かと思っているだろうから、お互い様である。

イタリアに観光に来ているドイツ人なんかは何を思ってか常に登山着なので、完全にセンスのかける奴らであるのだが、個人的にはドイツ人のほうが価値観として共感する部分がある。奴らは殊の外にケチである。

イタリア人の美容院に行く頻度も異常と言える。美容室はそれこそコンビニのようにそこら中にあり、2週に1度美容院に行くイタリア人を見れば、どうしてそんなに美容に金をかけられるのか不思議でならない。これはセレブなお姉さまに限ったことではない。歩けば見渡す限り、つい昨日散髪に行ってきたような髪型ばかりである。

イタリア人は存外に江戸っ子気質であり宵越しの銭は持たないのだが、美容院に行く前に貯金せよ と私は思う。しかしこれもまた彼らからしたら、お前は一刻も早くそのボサボサ頭をなんとかしろと思っているに違いないだろうからお互い様である。

第二に日本人と違う価値感だと思うのは、キャラクターものに対する認識である。

イタリア人からすると妙齢の大人がディズニーやらサンリオやらのキャラクターものを所持することは奇妙にうつるようである。(ジブリ作品は除く)

私の方ではおそらく「みっともない」と思っていると認識している。

私自身はキャラクターものは積極的に買わないまでも、所持していても気にならないので、無意識のうちに日本のカワイイ文化を引き継いでいるのかもしれない。マロンクリームの可愛さは、10代で卒業したものの、30代になると1週回って懐かしく、思い出も相まってかわいいのである。

自分がかわいいと思うからといって、うっかりプレゼントをしても意表をつくだけである。

はて、この日本人は何を思って私にこのようなおもちゃをプレゼントしたのだろう

といらぬ疑問を持たせる可能性も否定できない。相手がオタクならまだしも、プレゼントする相手は慎重に選ばないといけない。

イタリア人は優しい故に、表向きは日本の文化を尊重してくれるだろう。

しかしながら忘れてはならないのが、彼らはプレゼントにすらレシートをつけて、自分がいらないと思ったものは交換しに行くやつらである。

油断は大敵なのである。

テキスト