この記事を書いた人 当レシピブログを発信しているエミリオの日本人妻。 イタリアにて女の子を出産 在伊歴は5年程経つが、いまだにイタリア語初心者(!) イタリアで日本人の為の情報を探すのは本当に大変・・・ というわけで忘備録を兼ねたイタリア生活情報を発信していきます。 | サトウ |
イタリアの夏というと日本の夏のように湿っていなく、カラッと風が吹く爽快な印象を抱くかもしれない。確かにイタリアの夏は東京に比べれば幾分過ごしやすい。日差しは強いが日陰に入ればそこそこ涼しさを感じることもできる。
しかしながらクーラーがついていない家が多く、我が家ももれなくクーラーがない。貧乏で金がないからではない。確かに金持ちの家にはクーラーの一台や二台付いていることは否定しがたいが、我が家がクーラーを買えないほどの貧乏かと言えばそこまでの貧乏ではないはずである。
日本と同じように暑いことに変わりないが、石造りでできた家はひんやりしていて、うだるような暑さになることは1年に数日あるかないかである。そんな日でも窓を開けて扇風機をつければ大抵は乗り切ることができる。
我が一家は床に布団をしくジャパンスタイルであり、親子川の字で寝ている。
そうすると必然と3歳の我が子が寝ながら私にまとわりついてくる。3歳ながらに寝ているときも警戒心を怠らず、母親に接して身の危険を守っている事は生物として非常に有能であり我が子ながら大したものであるが、どんなに可愛くても暑いもんは暑い。私を枕代わりにするのは冬だけにしてもらいたいものだ。
それ故に徐々に布団から逃げて床で暑さをしのぐようになった。石づくりでできた床はひんやりして気持ちがいい。しかも床に寝ることで腰痛も治ってしまった。
まさに一石二鳥、涼しい上に健康にもいいのである。
ちなみにイタリア人に床に布団を敷いて寝ている事を告げると、先進的だと思ってくれるタイプと、お前たちはベッドも買えないのか という2タイプに意見が分かれる。後者は言葉にまでしないものの、動揺の表情がありありと見て取れるので何を思っているのかこちら側には手を取るように分かる。しかしながら我が一家は他人の意見を気にしないタイプであるからに、自分たちが快適であればそれで良しとしている。
そう、それほどまでに床で寝る生活は快適である。しかし快適な陰にはそれを脅かす存在がいるのが常だ。蟻である。
私は生まれも育ちも東京なので、蟻がここまで邪魔な存在だということをイタリアに来るまで知らなかった。蟻とは公園ですれ違う位の仲であり、踏み殺さないように避ける程の慈悲を持ち合わせていたが、今は蟻を見ればすかさず手で潰すほどである。それほどに邪魔であり煩わしい。
パンくずなんて落とそうもんなら、どこからともなく蟻がやってきて列をなす。パンくずならまだしも、私の事も食べ物と認識しているのではないかと思う節がある。寝ている私の上にわざわざ登ってきて噛むのだ。肥えた豚と勘違いしているのかもしれない。
蟻のように小さなものにとって、私が人間か豚かどうかには大した差異はないのかもしれない。しかし豚は噛んでも殺されないが、私は噛まれたら殺すので蟻は豚を噛んだ方が己の身の為である。
ただでさえ暑くて寝苦しいのだから勘弁していただきたい。
そのような訳で私は蟻とみると同時に手で潰す日常を送っていたのだが、ある日普段使っているボディクリームに蟻の行列ができていることに気が付いた。
私を豚だと思っていたわけではなかったのか と妙に納得したものの、ボディクリームまで食べるとは少し驚いた。
お主達はそこまで飢えているのか、と一抹の同情もしたが、私の慈悲に感謝することもなく今日も蟻は私を噛む。
そろそろアリクイを飼いたいと思っているが、イタリアでアリクイを飼っているという人は未だに出会ったことがない所を見ると、飼うには適していないのだろう。
イタリアの義母は蟻にはお酢だといって床に酢を塗るが、我が家の犬はお酢が好きなので床をひたすら舐めて困る。
毎年のことながら夏は憂鬱である。